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【たまごライター彩葉の挑戦】最低5回はループする短編小説を書きなさい

      2015/03/19

たまごライター彩葉の挑戦

様々な”難しそうなこと”に、たまごライター彩葉さんが失敗を覚悟で挑戦し続けるコーナーです。

今回の挑戦状は、こちら。

最低5回はループする短編小説を書きなさい。匿名

彩葉の解答

僕らの無理ゲー攻略

「これって……ワンロードの中?」
幼馴染の一人、サエが呟いた。
ワンロードとは、飛んでくるモンスターや様々な仕掛けをよけながら一本道を進みゴールを目指すという非常に単純なフラッシュゲーム。 小学生の頃パソコンで見つけた懐かしきゲームを三人で開いたところで、視界が真っ白に。そうして、次に気が付いた時には、この一本道にいた。
つまり、どうやら俺たちはゲームの中に入り込んでし まったらしい。
画面で見たときには単なる白い背景に黒い線の道だったが 、一応奥行のある道になっている。
「なんでこんなことに……?」
不安な目を向ける、これまた幼馴染のアキ。
「ポチがこのゲームを久々にやろうなんていうから」
「サエも乗り気だったよな!?あとポチって呼び名はそろそろやめろよ」
ポチとは俺のあだ名。昔サエにつけられた。
「あ、あの、あれ……」
アキの視線の先には『GameStart』の文字。それが三度点滅して、消えた。
「これって、ワンロードのはじまりの合図だよな?」
「え?ど、どうすればいいの?」
「さあ……まあ、じっとしててもだめよね。さっさと進もう」
アキの不安をかき消すように、サエが堂々と踏み出した。
「どうしたの?ポチ、アキ、怖気づいてるのー?」
からかうよ うに笑うサエ。
いつだって堂々としていて、みんなの先を行く。
俺は、そんなサエのことが好きだった。

「サエちゃん!危ない!」
唐突にアキが叫んだ。
それは、一瞬のことだった。
飛んできた蝙蝠型のモンスターが、
サエの頭部に勢いよくぶつかって
サエの、頭が
とんだ。

忘れていた。
このゲームの初見殺し。
開始直後突然現れるモンスター。

俺の頭は一瞬で真っ白になる。
すると、目の前に現れたのは見慣れた文字。

『Replay』

俺は、宙に浮いた文字に手を伸ばした。
こんな展開は許されない。
初めから。初めから、やり直し

◆  ◆  ◆

「これって……ワンロードの中?」
見慣れない 景色に私は呟いた。
「なんでこんなことに……?」
不安げな目を向けるアキと、物珍しげに周囲を見渡すポチ。
どうやらここは、ゲームの中らしい。
「ポチがこのゲームを久々にやろうなんていうから」
「サエも乗り気だったよな!?あとポチって呼び名はそろそろやめろよ」
そうやって食いつくところが犬っぽい。
「あ、あの、あれ……」
アキの視線の先には『GameStart』の文字。それが三度点滅して、消えた。
「これって、ワンロードのはじまりの合図だよな?」
「え?ど、どうすればいいの?」
不安そうなアキ。アキは昔っからこうだ。いつもビクビクとしていて、一 人じゃ前に進めない。
「さあ……まあ、じっとしててもだめよね。さっさと進もう」
だから、私が一番に前に進まなければいけないんだ。
「どうしたの?ポチ、アキ、怖気づいてるのー?」
からかうように笑ってみる。いつもの癖。

「サエちゃん!危ない!」
その時、アキが叫んだ。
それと同時に、私の脳裏にぱっと浮かんだのは初見殺しのモンスター。
このまま進むと自分の頭部が死ぬ……何故かはっきりとその映像が浮かんだ。
私は、さっとしゃがんだ。ゲーム内でもしゃがむことでこれを避けることができる。
でも、私は失念していた。
今、私が避けると……
「アキ!」
私のすぐ後ろにいた、アキ。
彼女の頭部に、私が避けた モンスターが、ぶつかって、
アキの、頭が
とんだ。

「いやあああああっ」
叫ぶ。
アキが、私の所為で、死んだ。
すると、目の前に現れたのは見慣れた文字。

『Replay』

私は、宙に浮いた文字に手を伸ばした。
こんな展開は許されない。
初めから。初めから、やり直し

◆  ◆  ◆

「これって……ワンロードの中?」
サエちゃんが呟いた。
一瞬、何のことか分からなかったけど、さっきやっていたゲームの話らしい。
「なんでこんなことに……?」
二人に不安げな視線を送ってみる。
「ポチがこのゲームを久々にやろうなんていうから」
「サエも乗り 気だったよね!?あとポチって呼び名はそろそろやめろよ」
仲睦まじい二人。
彼らから目を逸らすと、何かを発見した。
「あ、あの、あれ……」
『GameStart』の文字。それが三度点滅して、消えた。
「これって、ワンロードのはじまりの合図だよな?」
「え?ど、どういうこと?」
「さあ……まあ、じっとしててもだめよね。さっさと進もう」
サエちゃんが堂々と踏み出した。
「どうしたの?ポチ、アキ、怖気づいてるのー?」
からかうように笑うサエちゃん。私を守ろうと、いつだって先に行く。
私はもう子どもじゃないのに。

「みんな、しゃがんで!」
突然、サエちゃんが叫んだ。
理解できなかったけど、とにかくしゃがむ。
すると、突 然蝙蝠みたいなものが勢いよく飛んできて、私たちの頭上を通り過ぎていった。
確かこれは、初見殺しのモンスターってやつだったかな。ポチ君が昔言っていた。
こんな風に、ゲームが再現されているんだ。
「すごいな、サエ」
「なんとなく……頭に浮かんだのよ」
サエちゃんに絡むポチくん。それに答えるサエちゃん。ああ、不快。

「じゃあ、注意して進まないとな」
ポチくんが一歩踏み出す。
私は二人ほどこのゲームに詳しくない。後ろをついていくしかなさそう。

モンスターを避けたり、落とし穴を飛び越えたり。
ゲームだったらカーソル一つで避けられる。でも、今は自力で動く。
それが、難しい。

「うわっ」
突然、私たちの目の前 に岩が落ちてきた。
「ポチ、危ない!」
一つの岩を避けたポチ君の上に、落ちてきた別の岩。
サエちゃんは慌ててポチ君を突き飛ばした。
そして
そのまま、サエちゃんは、岩の下敷きになった。

「サエ!!」
混乱して叫ぶポチ君。すりよるポチ君。
目の前の事態が受け入れられない。
違う。違うチガウ。

ふと、目の前に現れた文字。

『Replay』

私は、宙に浮いた文字に手を伸ばした。
こんな展開は許されない。
初めから。初めから、やり直し。

◆  ◆  ◆

「これって……ワンロードの中?」
呟く。そして、こ んな言葉をさっきも言ったような気がした。
「なんでこんなことに……?」
「ポチがこのゲームを久々にやろうなんていうから」
「サエも乗り気だったよな!?あとポチって呼び名はそろそろやめろよ」
「あ、あの、あれ……」
『GameStart』の文字。それが三度点滅して、消えた。
「これ、見たことがある気がする」
ポチが言う。
私もだ。なんだろうこのデジャブ。

まずは初見殺しがくる。その後は落とし穴で、こんどはトカゲのようなモンスター。
ゲームとは違い、自力で避ける。何故か、慣れているような気がした。

「うわっ」
ゴール直前。私たちの目の前に岩が落ちてきた。
「ポチ、危ない!」
一つの岩を避け たポチの上に、落ちてきた別の岩。
慌ててポチを突き飛ばして守ろうとする私。でも
「サエ、来るな!」
ポチは大声で叫んだ。真剣な眼差し。
それに驚いた私は、立ち止まってしまう。

「繰り返すな。もう二人だけでい」
言葉はそこで途絶えた。
ポチが、岩の下敷きになった。

ポチは何て言おうとした?頭が働かない。
三人で早くゲームをクリアしたいのに。
もう何度も失敗している気がする。
後ろを振り向くとアキも俯いて震えていた。

『Replay』

私は、宙に浮いた文字に手を伸ばした。
こんな展開は許されない。
もう一度。初めから、やり直し!!

◆   ◆  ◆

『GameStart』の文字。それが三度点滅して、消えた。
「ねえ、このゲームって……」
「とりあえず、進もうか」
デジャヴを感じる。どうやら俺だけではなさそうだ。

まずは初見殺しがくる。その後は落とし穴で、今度はトカゲのようなモンスター。

ゲームとは違い、自分の身体で避ける。やはり、慣れている。だとしたら……

次は、ゴール直前に落ちてくる無数の岩。
これを避けるのは至難の技。
一つの岩を避けても、そこに次の岩が落ちてくる。もう分かっている。
このゲームのクリア方法は見えていた。でも、多分俺たちはそれを認められない。

「うわっ」
落ち てくる岩に気が付かないサエ。
危機一髪。俺はサエの手を引っ張った。

「あ、ありがとう」
少し顔を赤らめるサエに気を取られた。
だから、気づくのが遅れた。

後ろで俯いていたアキの頭上に、落ちてくる岩。
アキは、あっさりと、岩の下敷きになった。

俺がサエに気を取られていたばかりに。アキだって大事な幼馴染なのに!

『Replay』

俺は、宙に浮いた文字に手を伸ばした。
こんな展開は許されない。
もう一度。あと少し、やり直し

◆  ◆  ◆

『GameStart』の文字。それが三度点滅して、消えた。
「今度こそクリアしよう」
「 分かってる」
やけになっている。皆感づいていた。私たちは、この会話を何度も繰り返している。
もううんざり。早く抜けだしたい。

ゴール直前に落ちてくる無数の岩。
避けるには注意が必要。誰かに気を取られている暇はないのに。

ポチ君はサエちゃんのことが好きだ。
私は知っている。
私の恋はいつまでたっても実らない。

「うわっ」
落ちてくる岩に気が付かなかったサエちゃん。
その手を引いて助けるポチ君。
「あ、ありがとう」
顔なんて赤らめちゃって。
俯く。

「アキ、危ない!」
だから、私は、落ちてくる岩に気が付かなかったらしい。

ポチ君は、 私を守るようにして、岩の下敷きになった。

「いやあああああっ」
叫んだのはサエちゃん。

ゴールは目の前。

目の前に現れた文字。

『Replay』

ああ、そういうことか。
いつだったか、ポチ君が言っていた気がする。よく覚えていないけど。

「サエちゃん、行こう」
「え?」
私は呆然とするサエちゃんの手を無理やり引っ張った。
そして、ゴールと書かれた線を踏み越える。
その途端、私たちの姿は白い光に包まれた。
このゲームは別に三人でゴールしなくてもいいんだね。
そんなルール聞いていないもん。
バイ バイ、私の恋路を邪魔する善良な駄犬。
サエちゃんはさ、私だけのものなんだよ。
私だけ。私だけ。私だけ。

『GameClear』

そんな文字が見えた。

彩葉のあとがき

今回の挑戦状は、三千文字以内に五回以上ループをする。
なんだその無理ゲーは!と、私は叫びました。
そして、挑戦していて本当に無理ゲーだと分かりました。
シナリオは浮かんだんですけど。最初は一万文字くらいになっちゃうし。削って削ってなんとか約三千文字。はい、約三千文字ですっ
……今回はお題の一つをクリアできなかったため……失敗、ですね。どうぞ、私を嘲笑してください。

登場人物 の内面を 書く余裕がなかったのがとても残念……

さあて、次のお題こそクリアするぞ……っ

挑戦状

次回の挑戦状は、こちら。

『とろけるようなキスシーンで締めなさい』(3000文字)
*彩葉さんもここで内容を初めて知ります

新しい挑戦状も、随時募集いたします。この企画の記事にコメントをいただくか、Twitterでハッシュタグ #たまごライター彩葉に挑戦状 をつけてツイートしてください。採用させていただいた場合は、お名前も併記いたします。

彩葉さんの解答が公開されるタイミングで、次回の挑戦状の内容を発表いたします。

また、彩葉さんの解答に対する感想や、あなたなりの解答があれば、お気軽にコメントいただければ幸いです。

 - たまごライター彩葉の挑戦 ,

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Comment

  1. 匿名 より:

    ループものをゲームで再現したのがすこし意外でした。ループ攻略のオチがわかったときの「なるほど」感が清々しくて、よいと思います。さすがに三千文字におさめるのは無理ゲーだったみたいですね。それでも楽しく読ませていただきました。
    挑戦、お疲れ様です!

  2. お題、そして感想ありがとうございます。3000字以内に5回ループさせるなんて試みをする人はそうそういないですよね。いい経験になりました。
    結末を楽しんでいただけたなら幸いです。
    是非、今後もよろしくお願いします!!

コメントはお気軽に^^

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