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【たまごライター彩葉に挑戦ピックアップ作品:オノマトペで遊びなさい】世界/こじゅMAMA

      2017/02/13

【たまごライター彩葉に挑戦ピックアップ作品:オノマトペで遊びなさい】世界/こじゅMAMA

様々な難しそうなテーマで超短編小説に挑戦していただく、<a href="http://xn--38jva8b9cv681aipal42x have a peek at this site.com/news/1028/” target=”_blank”>たまごライター彩葉に挑戦。

たくさんの応募作品の中から、たまごライター彩葉(いろは)さんがピックアップした作品を、コメント付きで紹介いたします。最後には、グランプリ作品として「彩葉賞」も発表いたします。

今回の挑戦状はこちら。
オノマトペで遊びなさい

世界/こじゅMAMA

「ガタンゴトンでしょ」
電車の優先席に座っている女性が、自分の膝で笑っている小さな男の子にゆっくりと優しく語りかけていた。
少し前のめりに座り、すれ違う電車を見ては一生懸命に指をさして男の子は言った。
「ドゥグンドゥグーン。ドゥグンドゥグーン」
瞳を輝かせながら電車を眺めて言う彼に、彼女は少し恥ずかしいのか、困った表情を浮かべて静かに笑った。
そして、今度はさっきよりも控えめな感じで膝に座る彼に声をかけた。
「だから、ガタンゴトンでしょ」
新聞を片手に座る私はそれを見て、何十年も前の長男を見ている様で思わずクスっと笑ってしまった。
つい先日就職が決まったうちの長男。そんな息子も膝に座る彼と同じ様な時代があった。 耳で聞こえた音を表現し、楽しそうに喋っていた。
息子の電車の音は『チキッチキーッ。ディゴディゴディゴ……』だった。
最初に聞いた時、私も彼女の様に『ガタンゴトン』という言葉を息子に教え様と口を開きかけた。
しかしそんな私を見た妻が「これでいいの」と笑った。
「変だろう……」
「なんで?」
楽しそうにしている息子をみて、妻は私に質問をした。
「何でって、普通ガタンゴトンって言うだろう?」
「あら、普通ってなに?」
質問の答えに、さらに妻は質問で返してきた。
そもそも『ガタンゴトン』という音が普通というのを誰が決めたのかと私も考えてみた。
どこかのお偉いさん達がこぞって狭い空間にこもり、様々な音や言葉を決め世界に発信。それを私達が普通として認識させられているのだろう。
そして【多数派=普通。少数派=変。】というこの方程式は暗黙の了解で存在している世の中だ。
「やっぱり教えた方がよくないか?他人におかしいと言われるより、こうだと親が教えてやるべきだろう?」
私が腕を組みながら妻に言うと、笑いながらキッチンへと妻は行き、インスタントコーヒーを手に取った。
「悪い事ならば悪いって、親が教えなきゃ駄目だとは思うの。でもそうじゃなければ、いまこの子が感じたままの表現を大事にさせたいの。それに、あなたのいう普通がいいとは限らないじゃない?」
そう妻は言いながらマグカップにお湯をそそぎ、こちらに持ってきて私の前へと置いた。
妻の意見が100あっているとは思わない。
しかし、普通のやつが会社で出世するという世の中でない事を人事部で働いている私はよく知っている。平社員のまま一生涯を終えてしまうという輩を何度も目にしてきた。
「何でもかんでも親が教えるより、自分でいろんな経験をしてほしいの。本で知ったら色んな事に興味を持つかもしれないし、他人に言われたなら話すきっかけになったって事でしょ?それに、こうして喋るのだっていつまでか分からないわよ?無限の世界の可能性を邪魔しない」
そう笑う妻の言葉に首を傾げる私だったが、楽しそうに遊んでいる息子を眺めて結局教えるのをやめた。
そんな事があったのをすっかり忘れたある日……電車にある広告が目に入った。その広告は家族の団欒をテーマにしているものだった。
仕事で忙しい私は、息子といる時間が多い方ではなかった。そこで、長男が発した言葉を思い出し、私は目を閉じながら実際の音と重ねてみた。
『チキッチキーッ。ディゴディゴディゴ……』
その時、私の口元は微かに緩んだ。
いつの間にか電車は止まり、優先席にいた彼女達が立ちあがった。降りる間際、小さな彼はしょんぼりして口を開けた。
「ガタンゴトン」
彼の世界は少し狭くなり、かわりに知識を得た。ただ、彼の世界で遊ぶチャンスを彼女は失ってしまった様だ。

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作者プロフィール

こじゅMAMA
専業主婦で三児のママ。子育てに奮闘しながら、自分の趣味の世界を大事に生きるマイペース人間。浮き沈みもあるが、立ち直りは早い。

作者あとがき

つい最近ここの存在を知りフォローした私は、面白そうな挑戦状が目に飛び込んできた。
『オノマトペで遊びなさい』
なんだか面白そう!!書いてみようっていう軽い気持ちで、スマホを私は握りしめた。
ただ……オノマトペをいれすぎると書きづらいし、正直読みにくい。
ならば、遊びなさいというのを読み手に伝えるカタチというものはどうかな?と思いつき、この作品にした。
そして文字数制限の壁にぶちあたり、書いたものを削る作業へ……。
題材をいかしつつ、一つの枠におさえる難しさに痛感させられました。
今回とてもいい勉強になりました。
また機会があったら、挑戦させていただきたいと思います。ありがとうございました。

たまごライター彩葉のコメント

動物の鳴き声は世界中でとらえ方が違うっていうのは有名なことですよね。その他のオノマトペだって一緒です。本来、みなが同じ音を同じ言葉に置き換えることなんてしないはずです。でも、誰かが作ってしまったルールにいつの間にか沿ってしまう……それを教えてくれたのがこじゅMAMAさんの世界でした。
オノマトペで遊ぶ子どもの感性を受け止める……それが、文字を扱う私たち の役目。そう思わせてくれた一作です。

 - たまごライター彩葉に挑戦 ,

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