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たまごNo.003 ちまだり インタビュー後編

   

富士見ファンタジア長編小説大賞で佳作入選し、華々しいデビューを経験したちまだりさん。その後、どんな人生が待っていたのでしょうか。

たまごNo.003 ちまだり インタビュー後編

Q.収入の面ではいかがでしたか?読者の皆さまはそのあたりも気になるところだと思います(笑)

今はどうか知りませんが、当時はデビューしたての新人作家でも初版2万5千部くらい刷ってもらえたんですよ。初版の印税だけで百万近い金がドンと転がりこんでくる。金銭感覚狂っちゃいますよね。ただそれを「儲かった!」と思えるのはあくまで兼業でやってる間の話。いざ専業作家になるとその印税や原稿料だけで食っていかなきゃならないわけで、これは相当厳しいです(年に4、5冊出版してようやく平均的なサラリーマンレベル?)。

ラノベの担当編集者が一番苦労するのは「プロデビューしたら即会社を辞めようとする新人作家を引き留めること」と聞きますが、さもありなんという感じですね。

Q.やはり、今も昔も厳しい世界だということに変わりはないんですね。ちまだりさんの場合、デビュー前後で一番変わったと感じたところはどこでしたか?

アマチュアの間は純粋にエンタメとして楽しめた小説や漫画やアニメが、プロデビューした後は逆にプレッシャーになりました。どうしても自分の作品と比較してしまうんですよね。名作や傑作といわれる作品に接すると「やっぱり俺が書くものなんて……」と勝手に落ち込んだり。だから現役時代はわざと嫌いな作家の作品を無理して読んで「ふっ、俺ならもっとうまく書けるぜ!」なんて方法でモチベを上げてみたり……うん、元々捻れていた性格がもっと捻れました(笑)

Q.差し支えなければ、プロ小説家をリタイアするに至った理由やエピソードがあれば教えて下さい。

ぶっちゃけ家庭の事情ですね。一番大きかったのは実家の母親がガンで倒れたこと、父親がパーキンソン病で要介護状態になったことで(両親共既に他界しました)……ただこれらは全て私自身(とその家族)の問題であり、よくある「出版社や担当編集者とのトラブル」とかそういうものとは全く事情が異なります。当時お仕事させて頂いていた出版社の方は最後まで親身になって心配して下さいました。結果的にはこちらが不義理を働く形となってしまい、今でも誠に申し訳なく思っております。

ちなみに作家業を引退してからこれまで職を転々としていたわけですが、まあそれだけ人生経験を積んだともいえるし、この経験を今後の創作に活かしていければ……いいんですがねー。

Q.こういう言い方が適切かわかりませんが、それがどんなことであれ、すべての経験を作品のモチーフやテーマとして消化できるのも、小説家ならではですよね。ところで現在ちまだりさんは、ファンタジー・ホラーを中心に執筆されています。ファンタジー・ホラーの魅力はどこにあると思いますか?

人生最初の小説体験が星新一や江戸川乱歩だったこともあり、やはり「現実の裏に隠された非日常の世界」に憧れてしまうのですよ。いま流行りの異世界ファンタジーとはちょっと違うかな? 限りなく現実に近いけど、でもどこか歪んだ世界。いつか「心霊現象も殺人鬼も出て来ない、それでもゾッとさせるホラー小説」を書いてみたいですね。ロアルト・ダールの「南から来た男」みたいな。

Q.読者の中には、小説大賞の受賞を目指している方も多いと思います。何かアドバイスできることはありますか?

具体的な文章作法や「公募作品の傾向と対策」はプロが書いたハウツー本が書店に並んでいるのでそっちを参照してもらうとして、時間に余裕のある学生さんは小説を含めて1冊でも多くの本を読んで頂きたいですね。逆に時間の少ない社会人の方はご自分の職業関連でいいから何かひとつ「専門分野」の知識を体系的に身につけておくと強いと思います。

Q.今後の予定や、将来的に目指している目標などがあれば教えて下さい。

現在「小説家になろう」有志で小説コンテストを行い、優秀な作品があれば某出版社から電子書籍で商業デビューさせる【競演】という企画が進んでおり、私はその審査員役を務める予定です。今まで応募する立場だったものが、今度は「審査する側」に回るということでいささか緊張しております。

もちろん私自身も他の公募に挑戦していきたいし、いつかはまたプロとして書店に作品が並ぶよう頑張りたいですね!

Q.最後に、読者のみなさまに一言お願いします。
「人生はこれからさ」

インタビュー後記

それがどんな形であれ、コンテストで受賞してデビューまでこぎつけるというのは、才能と運と努力の3つが揃ってはじめて実現します。しかしその先には、さらなる狭き門が待っていて、デビューしただけで安心することを許してはくれません。

大げさかもしれませんが、天国も地獄も知りながら、改めてプロの小説家になるために努力し続けるちまだりさんは、本当にすごい方だなと思います。この短いインタビューからでも、小説家のたまごが学べることはいくつもあったのではないでしょうか。ありがとうございました。

みなさんは、いかがでしたでしょうか?インタビューに関するご意見や感想があれば、お気軽にコメントください。

 - たまごにインタビュー ,

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