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【執筆仲間の見つけ方】とある司書の日記/黒田なぎさ

      2017/06/06

【執筆仲間の見つけ方】とある司書の日記/黒田なぎさ

(「たまごたちの書庫シリーズ」の設定を使っていますが、未読でも大丈夫です)

 

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今日、職場の後輩に「執筆の友達っているんですか?」と聞かれた。その場で5秒ほど考えて、いないと答えた。さおりさんて、ぼっちなんですねーと言われた。そうかもしれない。別にこういうふうになりたいわけでもなかったが、気がついたらひとりで歩いていた。
私もはじめは、成長する環境を整えようとがんばっていた。執筆仲間がいたほうがモチベーションも上がるだろうと思い、いろいろ手を出した。まず初めに小説講座に入った。先生から作品の講評を受けたが、ウマが合わず、半年で辞めてしまった。そのあと小説の同人イベントに行って、いろんな人の本を買った。打ち上げに出席して名刺を交換したりした。その人たちとは今も知り合いだが、仲間かと言われると、ピンとこない。文学同人(原稿を持ちよって、同人雑誌を作ったり合評会をしたりする会のこと)にも入ったが、最近はあまり作品を出せてないし、合評もサボりがちになっている。
いつの間にか、ひとりで歩いていた。なぜだろう。

・仲間がマイナスに働くとき

ひとりで書いている理由は、執筆仲間(小説家志望者)がいるときに、プラスに働くどころか、マイナスに働くようになってしまったからだと思う。嫉妬したり、妬んだり、影響されて力が入ったりして、書けなくなってしまうことが多くなった。マンガならここで、優秀な師匠と出会い、悔しさをバネに修行して強くなるのかもしれないが……(そういうマンガは古いのだろうか)私は師匠とも会えなかったし、強くもならなかった。なにより刺激をもらったとき、緊張して動けなくなってしまった。そういうタイプの人間は世の中に一定数いるらしい。つまり、人の目を意識しすぎて緊張してしまい、パフォーマンスを落としてしまうタイプの人間が。
アスリートの中にも、コーチを持たずにひとりでトレーニングしている人はいる。(為末大 私がコーチをつけられなかった理由)現役の作家さんにも、自分が文学同人に入会していたら、おそらくデビューできていなかっただろうと思い返す人は結構いる。()伴走する人がいればいいというわけでもないらしい。

・書けなくなると意味がない

書けなくなってしまうと意味がない。書かないと作品はできず、作品ができなければ評価ができない。評価ができなければ試行錯誤もできない。作品がないと推敲もできないし応募もできない。反省もできないし目標も立てられない。ないないづくしのないづくしである。これは小説の先生を探すときも同じだと思う。先生がつけば必ず作品を評価される。評価がこわいと思って作品を書けなくなる人はいる。
そんなことで書けなくなる人はだめなのでは? という意見もあるかもしれないが、ある程度経験があれば、執筆そのものに慣れて、緊張せずに書けるようになる。経験を思い出して、それをなぞればいいだけだからだ。経験が少なく、自分の書き方がわかっていないときは、混乱する。
書けないときは地獄である。へたをすると何年も無駄になるかもしれないし、「自分は向いてないかもしれない」と言ってこの道を諦めてしまうかもしれない。それは一番恐ろしいことだと思う。

これは、子どもが創作を嫌いになってしまう現象と似ている。子どもが描いた絵を親がマジメに批判すると、子どもは絵を嫌いになってやめてしまう。子どもの習いごとはとにかく褒めろという。ある程度の経験がないと、批判されたときにどう修正すればいいかわからないからだと思う。
ある将棋棋士は、自分の子どもに将棋を教えようとしたが、厳しくしすぎて子どもに辞められてしまったという。逆にいま親子で将棋棋士になっている人の親は、基本的に子どものことを放っておいたらしい。本人が将棋好きになれば、勝手に成長するからだ。

・仲間は悪ではない

創作仲間をつくることを否定するわけではない。たまたま今のわたしに必要がないと感じているだけだ。かく言うわたしも昔は、大学の文芸サークルにいた。わりと本格的な合評会をしていたところだったので、そのときはかなり充実していたと思う。だがだんだん、合評を意識しすぎて、執筆が止まっていったような気がする。そのときは無理せず集団から離れて、自分の課題と向き合う。
いまの自分の課題は、「年間でどれだけの枚数が書けるか記録する」「各枚数の作品をどれだけ早く書けるか記録する」になっており、結局ひとりで歩いている。書き上げて、作品の規定に合いそうな賞があれば送る。自分の作品の評価が知りたければ、そのときに手を挙げて、誰かにお願いすればいいかと思う。

そういえば昔、大学院でつらい研究生活を送る学生に、「やっていく秘訣は?」と聞くと、「友人をつくっておくこと。そうしないやつは辞めていく」と答えが返ってきた。友人がいれば苦しい気持ちも薄められるし、教授のグチも言えるし、講義レポートの教え合いだってできる。わたしはそのとき、大きなくもの巣を想像した。友人を作ってネットワークを張っておく。すると自分がそこから落ちそうになったとき、くもの巣が自分をひっぱって防いでくれる。会社をやめようとするときも、人生をやめようとするときも同じだと思う。執筆生活もそうだろうか。

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たまごたちの書庫シリーズ(コラム連載)

たまごライター プロフィール

たまごライター:黒田なぎさ
kuroda四国在住のプログラマです。中学生のころから小説を書きはじめ、新人賞への公募はまだ数年。ジャンルはエンタメ中心で、「小説家になろう」にて小説を公開しています。修士(工学)専門は対話システム。お気軽に絡んでやってください\(^o^)/ Twitter:@KosugiRan

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