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【たまごの物語:お金】お金の回答/内気でロバ顔

   

【たまごの物語:お金】お金の回答/内気でロバ顔

先生! 質問があります。なんで勉強しないといけないんですか?
先生! 教えてください。幸せってなんですか?
先生! 疑問があります。お金はなんで大切なんですか? なぜ大人はみんな働いているんですか?

わたしにはわからないことがたくさんあったし、平均的な子供より頭の回転も遅かった。じっくり考えないであれこれ教師の海貝先生に質問しまくった。因みに海貝先生はクラスメイトのみんなにカイカイと呼ばれている。
算数の授業のときにテストがあった。A4判の用紙にお金の入ったイラストが描かれており、その上に出題内容が黒い文字で記されている。

袋には、500円玉が10個入っています。この袋に入っているお金の合計金額を答えなさい。

答え:( )

わたしは少しだけ考えた。すると答えがわかった。5000円だ。プリントは授業の終わりに一番後列の席の生徒がまとめて回収して先生に渡した。

次の日の休み時間になった。わたしは廊下でカイカイをみつけた。なんだか嬉しい気持ちになり声をかける。
「カイカイ先生! この前の算数のテストどうでした? 全問正解だったでしょ?」
「倫子ちゃん。残念だけど」
「ええ? 間違ってた? あの問題自信あったのに~」
「うん。でも一問だけ違っただけだから、合格点だし、よく頑張ったんじゃない?」
「うぅ~。こういうのをショックっていうんだぁ」
まさか。間違えているなんて。テスト中、何度も何度も回答の確認をして、今回は絶対に満点とれると信じていたのに。
「それで、どの問題が間違っていたんですか?」
カイカイは少しだけ考える仕草をした。そして、わたしから視線をそらしながらこう言った。
「お金の問題」

わたしはいったいどんな回答をしたんだっけ。なぜそこだけ間違えていたのだろう。とても気になり、この日の夜はなかなか寝付けなかった。
「早く朝になれ~」
布団の中にもぐり独り言をつぶやく。視界は真っ暗で、一人の寂しさを感じた。わたしはいつも自分の素直な気持ちを表現しすぎるところがある。孤独によって想像があふれ出し、未来への不安をあおる。こんな気持ちは言葉に出したら楽になるかもしれない。
「将来のわたしはどうなっているのだろう? おかあさんとおとうさんがいなくなったらわたしはどうやって生きていくんだろう? お金があれば生きていける? それだけで幸せ? わたしはいったいどこに向かっているのかな? なんのために生まれたのかな? きっとわたしはみんなと同じように学校にいって、働いて、お金もらって、それから…」
自問している内にいつの間にか深い眠りにおちていった。

次の日になった。先生が一昨日のテストを返却するために生徒の名前を呼んでいた。アイウエオ順だからわたしの名前が呼ばれるのはだいぶ後になるだろう。開いた窓から清々しいそよ風が入ってくる。この感じ、好きだ。目をつむると心地よい自然の風を素肌だけで知覚できる。自分なりのゆっくりのペースで呼吸を繰り返す。このままがずっと続けばいいのに。でも時間は残酷にわたしの自由をうばう。
「法川倫子くん」
「ぁ、はい」
席を立ち、教卓の前にいるカイカイに向かって歩きだした。そういえばテストの点数はもうわかってたんだ。98点なんだよね。
「よく頑張ったな。おしかったよ。珍回答がなければ花マルをあげていたんだがなー」
「え? 珍回答?」
わたしは渡されたテスト用紙の赤ペンでペケされた箇所を凝視した。そこにはこう書いてあった。

袋には、500円玉が10個入っています。この袋に入っているお金の合計金額を答えなさい。

答え:(5000円あればなにができますか?)

「そういうのは自由に決めればいいんじゃないかな」
カイカイはぼそりとつぶやいた。

作者プロフィール

内気でロバ顔
去年の今頃から「小説家になろう」というサイトで創作活動しております。去年に成人式を迎え、まわりの同級生が大人っぽくなっているのを尻目に、「すごいなぁ」とため息をつきながら内気でロバ顔は孤独にぽちぽちと文章を書き連ねる日々を送っております。飽き性なせいか(五万文字以上の)長編小説が一度も書けていません。

あとがき

筆者はお金って人を動かす力の元だと思うのですよ。やる気がでないとかでるとか以前に、お金が動けば人も動かざるをえないみたいな作用があるような気がするんです。たぶんお金に価値があるから、人がそれを得るために頑張って働いたりしちゃうのでしょうね。仕事にやる気が無い人は、お金に対する価値が低いのかもしれないです。
疑問なのですが、不安はお金が解決するのでしょうか?
もしかするとお金より不安に価値がある場合もあるかもしれませんよね。常識はあっても一人一人の価値観は多用ですからね。

 - お金

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