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【たまコラム:文学賞で大賞をとる】第1回:九州さが大衆文学賞について/あやまり堂

      2017/06/06

【たまコラム:文学賞で大賞をとる】第1回:九州さが大衆文学賞について/あやまり堂

そんなわけで、連載第一回目です。
これからしばらく、おつきあい下されば嬉しいです。
最初は、そもそものところで、「九州さが大衆文学賞」の説明と、選考方法について書いておきます。

九州さが大衆文学賞。
「木枯らし紋次郎」などで知られる故・笹沢左保先生が始めた、地方文学賞。
募集しているのはミステリー(90枚)と時代小説(70枚)で、もちろん佐賀県以外、九州以外にお住まいの方も応募できます。海外からの応募もあったと聞いた気がします。
選出されるのは、大賞、佳作、それから佐賀県内の方への奨励賞。
選ばれると、立派な額入りの賞状と、たいそう重い盾、そして賞金がもらえます。

主催は、私が受賞した第22回では、佐賀新聞、ミサワホーム佐賀、佐賀銀行。
協賛は、佐賀の老舗和菓子店の村岡総本舗、いか焼売が名物の、萬坊。それから後援として、佐賀県、佐賀市、唐津市です(お世話になったので、きっちり書いておきます)。

こうした関係から、贈呈式には、ミサワホーム佐賀の社長や、佐賀県副知事、ほかには佐賀市、唐津市の観光文化担当の方がお見えになっていました。
以前は、九州電力も主催者側に立っていたのですが、昨今の赤字で降りてしまった模様です。
なお、ミサワホーム佐賀は、笹沢先生が佐賀へ越された際、家を建ててもらった縁からの、長いおつきあいだそうです。わたくしもいつかミサワホームで家を建てる、というのが目標となりました。

募集要項については、毎年6月ごろに新しいものが出て、11月末が締切となります。

この賞の特色としては、「時代」「ミステリー」というジャンル指定はともかく、何と言っても、選考委員が地方文学賞の中では「もっとも」と言って良いほど豪華なところだと思います。
初期には笹沢左保先生、森村誠一先生、夏樹静子先生。後に北方謙三先生が加わって、笹沢先生が亡くなった後は、大賞を「笹沢左保賞」とし、森村、夏樹、北方の三委員が最終選考を行います。
最終選考の経過は、佐賀新聞の見開きにどどんと一挙掲載されるので、候補者ならずとも、まことに興味深いものだと思います。

選考方法について

さて、「九州さが」ではどうやって、選考が進められるか。
文学賞によって、選考方法は異なるでしょうが、けっこう共通するところも多いかと思いますので、聞いた範囲で書き残しておきます。

一次審査は、まず、佐賀新聞社内で行われます。
新聞編集局の方が読んで、第22回だと、275編の投稿作から71編に絞られます。
ここで落ちるのはまことに悔しいですが、言ってしまえば、大半がここで落ちてしまうわけですね。

次の二次選考は、一次通過作品を、東京の祥伝社という雑誌社へ転送して、行われます。「小説NON」編集局の関係者(編集長やOB)が読んで13編に絞り、この二次審査通過作を、さらに編集局内で読み進んで、最終候補作六編に絞る――のだそうです。
二段階に渡って、プロ編集者が目を光らせているので、やはり「九州さが」はレベルが高いと言えるんじゃないでしょうか。

最終候補が決まった時点で、投稿した人全員に、結果が通知されます。
角2の定形封筒に、一枚紙封入。

あたくしはこの「落選通知」を9枚ほどコレクションしておりますが、
「あなたの小説は、【×】次選考を通過できませんでした」
という文面だけで、ラノベ等では割となじみ深い「評価シート」だとか、どこが駄目だったというようなコメントはありません。

なお、最終候補に選ばれた場合は、
「さて、あなたが応募された『老虎の檻』は3次におよぶ審査を通過し、大賞候補6編に残りました」
という文言に変ります。ヤッタネ。

とはいえ、この時点では電話連絡もないですし、届けられるのは「落選通知」と同じ角2封筒ですし、用紙も「落選」の時と寸分変らないので、文面読み進んで行って初めて最終選考だと知れて、わたくしなどは喚声を上げてしまいました。

こうして選ばれた最終候補作6編が、森村、夏樹、北方の各委員へ送付されます。
ここからが、本当の勝負ですね。

3審査委員は最終候補作を読み、事前に点数評価(ABC)をして、選考会に臨みます。
第22回でいえば、2月23日(月)に、佐賀市内の料亭に委員が集まって、討論して、受賞作品を決める、という流れになっていました。

(つづく!)

たまコライター プロフィール

あやまり堂(あやまりどう)
tamako_001_ayamarido
長く小説新人賞一次落ち通知コレクターを続けてまいりましたが、このたび「老虎の檻」という歴史小説で、第22回九州さが大衆文学賞の大賞・笹沢左保賞をいただきました。働きながら大学院通学中。専門は日本史(キリシタン史)。twitter:@ayamarido

たまコラムとは

小説家のたまごが気になるテーマごとに、数回から十数回程度のコラムを、連載形式でお届けします。

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