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【たまコラム:文学賞で大賞をとる】第5回:登竜門まで/あやまり堂

   

【たまコラム:文学賞で大賞をとる】第5回:登竜門まで/あやまり堂

そんなわけで、わたくしの書いた「老虎の檻」という小説が、四月末から五月の連休中、6回に分けて、佐賀新聞紙上に連載されました。

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……本当に載るんですね。

佐賀新聞の方には本当にお世話になりまして、掲載された新聞も、3部ずつも送っていただきました(3×6=18部!)。ここでもお礼申し上げます。ありがとうございました。

さてさて、これまでは、第22回九州さが大衆文学賞受賞までの流れ、手続きなどを主に書いてきましたが、ここからは、「どうしてあたしゃ受賞できたんだろう?」というところから、小説作法的なところを、書いて行きたいと思います。
小説作法は人それぞれですし、個々人で見出して行くしかないと思うので、まったく参考にはならないかもしれませんが、自由に書いていいぜと、にわとりさんに仰っていただいたので、書かせてもらいます。

素人小説作法

わたくしが、「九州さが大衆文学賞」へ初めて投稿したのは、大学2年のとき、かれこれ15年も前のことで、当時は笹沢左保先生がご存命だったことを覚えています。

……それから15年。
投稿すること10度。
落選通知コレクション9枚。

今回初めて最終選考に残り、そのまま受賞、となったわけですが、過去9つの落選作と、今回の受賞作で何が違うのか――を考えれば、いくらかは、用いるべき小説作法が見えてくる……気がしないでもない。
その辺を、整理してみます。

向上理論

わたくしの個人的な感覚として、どんな小説を書いてみても、
「自分は、まだまだである」
というのが、常にあります。
それは、長年一次落ちを繰り返してきた卑屈さが思わせるのかもしれませんが、何を書いても、どんな自信作でも、
「もうちょっとおもしろくできた。まだ物足りない」
「次書くなら、別の書き方をする」
「あの方法を試したかった」
と、書いている最中から思うので、如何に一次落ちコレクションが増えようが、挫折ほどな落胆は覚えないで、ここまで来ることができたと思います。

要するに、いくら落ちようが「少しずつでも進歩をしている」いう自信があった、というか自己暗示をかけ続けてきたので、
「まだ賞には及ばないが、いずれ」
と、常に思い続けることができたわけです。

だからあたくしは、
「この賞の選考はおかしい。選考委員は馬鹿だ。無能な下読み死ね」
とかは決して思いま……思わないようにしてまいりました。

いずれにしても、図にして、こんな「向上理論」的なやつを、常に頭に描いていました。

適当理論

赤の矢印で示したのが、自分の歩み、とでも言いましょうか。

まともに考えられた理屈でもなんでもないので、よくよく考えると、もやっとするかも知れませんが、ともかくたくさん書くことで、下の「経験値」が増えて、それに比例するように、「作品レベル」も上昇して行く……という感じ。

世の中、
「この俺が、受賞できないのはおかしい!」
「我輩の作品が読まれないのは何故だ!」
とか、なかなか自信家の方をお見かけするのですが、すくなくとも私は、落選したのは自分の実力が足りないため。実力が無いうちは人にも読まれない、と思うており、いつか自分の実力が、受賞レベルに到達すればいいなあと思い続けていました。

この、「考えてみると謎理論」のグラフに従って、あたくしは常に、落選したものより次に書くものの方が良いものになる、と思い続けていましたし、今も、次に書くものの方がより良い作品になる、と思うております。

もちろんこの赤線の進み方は、わたくしの場合であって、若いうちから活躍している三島由紀夫とか、大江健三郎などを思えば、いきなり左上から始まる人もいるでしょう。
また、どれだけ書いても、一向に作品レベルが上昇しない方だとか、書けば書くほど右肩下がりになってしまう方も、そりゃ、中にはいるでしょう……。

なお、「九州さが」については「地方文学賞」でもありますし、緑の「受賞レベル」よりは低く、青色に届くか届かないくらいかなあと思っています(小説雑誌「NON」に、第一線で活躍されている作家作品に並んで掲載されるため、そのくらいが妥当?)。
ついでに言えば、個人的には、紫の「名作レベル」に達したら、給料仕事辞められるな、と思うてます。

ちなみに、わたくしの場合、このグラフ理論が頭にあるので、
「一発名作書いて、俺はこれで満足だ!」
というのは、まったくありません。

(つづく!)

たまコライター プロフィール

あやまり堂(あやまりどう)
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長く小説新人賞一次落ち通知コレクターを続けてまいりましたが、このたび「老虎の檻」という歴史小説で、第22回九州さが大衆文学賞の大賞・笹沢左保賞をいただきました。働きながら大学院通学中。専門は日本史(キリシタン史)。twitter:@ayamarido

たまコラムとは

小説家のたまごが気になるテーマごとに、数回から十数回程度のコラムを、連載形式でお届けします。

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