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【たまコラム:太宰治のすべて】第0回:はじめに/前田沙耶子

      2017/06/06

新連載:太宰治のすべて

今回スタートするコラムのテーマは『太宰治のすべて』です。

太宰治(だざいおさむ)。小説家のたまごの中で、この小説界のレジェンドとも言うべき偉大な人物の名前を知らない人はいないでしょう。それどころか、太宰治の作品に触れたことのない人なんかいない、とすら言い切れてしまいそうです。

芥川賞を受賞したピース又吉さんや、爆笑問題の太田光さんをはじめ、著名人にも太宰ファンを公言する人は多いですよね。時代を超え、長きにわたって広く深く愛され続けている小説家が、太宰治なのです。

では、なぜ人は、太宰治に惹かれるのか。太宰治とは、いったい何なのか。

ここで改めて基本に立ち返り、太宰治という小説家を、正面から向き合って知ろうとしてみる。そうすることでたとえば、人に愛される作品づくりのヒントが得られるかもしれません。

この連載では、太宰治を愛してやまない、前田沙耶子さんに担当していただきます。あなたが連載を読み終わる頃にはきっと、太宰治の魅力に取りつかれた太宰ファンのたまごになっているはず。

それでは、本日から始まる連載を、お楽しみください。

はじめに たまコライター紹介

前田沙耶子(まえださやこ)
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はじめまして。このたびたまコライターとしてコラムを書かせていただくことになりました、前田沙耶子(まえださやこ)と申します。

まずは簡単に自己紹介させていただきます。1992年生まれの23歳、もうすぐ社会人2年生……のはずですが現在、諸事情により休職中。引きこもり歴はめでたく3か月目に突入しました。短歌、小説、作文などをツイッターやブログにて公開しています。そしてこのサイトをご覧になっている方は全員そうだと思うのですが、書くことが大好きです。

魂込めて書きますので、どうぞよろしくお願い致します。

さて、私のいただいたテーマはずばり「太宰治の魅力を伝える」。中学時代に『人間失格』と運命の出会いを果たして以来、その世界観にどっぷりとはまり、作品を読み耽りました。大学では近現代文学を専攻し、卒業論文は『戦時期太宰治作品における「夫婦」像』というテーマで執筆致しました。それほど好きな作家なのです。

そんな太宰について自由に、かつ存分に語る場をいただけたというのは非常に喜ばしいことです。企画内容について「太宰治に関することなら何でもありです」と言ってくださった『小説家のたまご』様、心広すぎやしませんか。ツイッターのフォロワー数から単純に考えれば、1.1万人の方の目に触れるということになります。普通そんな大勢の方の前で「太宰は素晴らしいんだよ!こんなところがすごいよ!面白いよ!」なんて勝手に話し始めたらドン引きです。しかし、それをコラムというしっかりとした場で、自由に語らせていただける。有難すぎてパソコンに足を向けて眠れません。この場をお借りして改めてお礼申し上げます。

でも浮かれていたのも束の間。これは同時に恐ろしいことでもあると気が付きました。何しろまず連載を持つという経験が初めてなのです。最後までやり遂げられるのか、締め切りを守れるのか(守ります)、途中でネタ切れしたらどうしよう……等の不安に駆られました。そしていくら場を与えていただいたとはいえ、内容がしっかりしていなければもうダダ滑りです。

ですが、私は引きこもりです。引きこもりには「とにかく時間だけはたっぷり」という強みがあるのだ!……と己を奮い立たせました。というわけで、コラムを執筆させていただくにあたり、まずはとにかく資料を集めるため、自宅近くの書店を巡って関連書籍を探し回ることから始めました。昼間に外に出ると疲れます。久々に浴びる日光に目眩がしました。が、同時にとてもわくわくしました。こんな気分で外出したのは久しぶりです。余談ですが、「もし卒論を書いていたときに出会えていたらどんなに楽だっただろう……」と感じる本が何冊も見つかり、行く先々で膝から崩れ落ちそうになりました。本との出会いってタイミングだな……としみじみ実感させられました。

正直なところ、与えていただいた大枠以外の部分、すなわちどのような方向性でいくのか、全何回の連載にするのか等、全く決まっておりません。お手本のようないきあたりばったりっぷりです。しかしながら、この連載を通じて叶えたい目標は明確にあります。

まずはファンの方に更に魅力をお伝えするということ。

そして、苦手意識を抱いている方には、どれか一作でも、興味を持っていただくということです。

太宰治は好き嫌いが明確に分かれる作家だと思います。

たとえば先述した『人間失格』。読んだことのない方のために簡単にご説明させていただきますと、幼少期より人間を怖れ、「道化」として生きる主人公・大庭葉蔵の人生が手記という体裁で書かれた物語です。その内容は太宰自身の人生と重なる部分が多くあり、自伝的な小説であると言われています。誰しも一度はそのタイトルを耳にしたことがあるであろう、太宰の代表作です。

しかし、その破滅的な内容、暗さ、救いのなさ故か、賛否のある作品であることもまた事実です。実際、「怖かった」「読んでいて落ち込んだ」「あれを読んでから太宰はちょっと……」という感想を耳にすることも少なくありません。大学時代にある教授が「私は太宰が嫌いであります」とはっきり仰るのを聞いたこともあります。

その反面、私のようにその世界観にどっぷりと嵌ってしまう人間もおりますし、読書感想文の題材の定番ともなっています。夏目漱石著の『こころ』と並んで長年発行部数を争っている、日本屈指の大ヒット小説でもあるのです。

……と、このように、『人間失格』ひとつ取っても、かなり評価の分かれる作家であることが窺えます。恐らくこのコラムを読んでくださっている中にも、すごく好きな方とすごく苦手な方、両方いらっしゃるのではないでしょうか?

だからこそ、私はどちらの立場の方からでも楽しめる連載にしたいと考えているのです。

もう一つ、『走れメロス』を例に挙げてみましょう。こちらも一応説明させていただくと、主人公のメロスが暴虐な王・ディオニスに正義と友情を証明するため、友人であるセリヌンティウスを人質に捧げ、とにかくダッシュで行って帰ってくる、というお話です。

それほど長いお話でもありませんし、教科書に載っていて読んだことがある、という方も多いのではないでしょうか。『人間失格』と対極を成す短絡的で正義感の強い主人公、勧善懲悪の見本とも言えるようなベタベタなストーリー。 『人間失格』を読んだあとに『走れメロス』を読み、作者が同一だと知って驚いた(逆もまた然りですが)、という方もいらっしゃると思います。

『人間失格』と『走れメロス』のような、いわば陰と陽の両方を描いている太宰。その理由やバックボーン等は……後々に引っ張っておくことにしましょう。

太宰治は、本人の人生を知れば知るほど、良い意味で人間臭くさ感じられる作家だと私は思っています。だからこそ、この連載を通じて少しでも「太宰ってこんな一面もあったのか」「イメージと違って親しみやすいところもあるな」と思っていただければ幸いです。

最後に一つ、太宰関連グッズのご紹介をさせていただきたいと思います。

その名も『人間失格マフラー』!

やったー!これで毎日太宰といっしょ!ということで私も愛用させていただいております。

全体に原稿用紙が配置され、片面には「恥の多い生涯を送って来ました」等の名文が、片面には「人間失格  太宰治」の文字とこぼれたインクの染み(喀血をイメージしているそうです)等があしらわれたパンク且つオシャレなデザインです。(ちなみに宮沢賢治著『銀河鉄道の夜』バージョンもあります。)

現在はどの店もほぼ在庫がないそうなのですが、製作者であるこまぎれ様(@komagire) 曰く「秋頃には再入荷予定です!」とのこと。写真など見ることもできますので、気になる方はチェックされてみてはいかがでしょうか?

それでは、次回からよろしくお願い致します。

たまコラムとは

小説家のたまごが気になるテーマごとに、担当たまコライターが数回から十数回程度のコラムを、連載形式でお届けします。

また、小説家のたまごでは常時たまコライターを募集しています。詳細はこちらをご覧ください。

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