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【たまコラム:道尾秀介生活】第1回:早速ですがラットマン/杉本友義

   

【たまコラム:道尾秀介生活】第1回:早速ですがラットマン/杉本友義

初めまして、詳しい自己紹介やこのコラムの詳しい事は、本文とは別の自己紹介等にて載せているのでここでは省略させて頂きます。

という訳で、早速では有りますが道尾秀介を語っていきたいと思います。
大事な連載の初回という事もあり、何を書こうか大分迷いまして、
一瞬「もういっそ道尾秀介のことを書かないというのはどうだろう?酢昆布についてでも語ろうか。」とも思ったのですが怒られそうだし、僕の中の道尾愛が圧勝したので控える事にしました。
そこで悩みに悩んだ結果、初回は僕が初めて道尾秀介という存在に触れた小説、「ラットマン」を基に道尾秀介の魅力を語りたいと思います。

中学3年の秋。国分寺駅ビルの本屋にて僕は、三浦しをんの名を血眼になって探していた。その時僕の身には、急に、本当に急に「三浦しをん読みたい症候群」が発症していた。三浦しをん作品の中で未踏の作品を求める獣に、僕はなってしまっていた。
各ブースのま行作家を、まじまじと左から右に横歩きで見つめ歩いていると、一冊の本が表紙を向ける形で居座っていて、「ラットマン」と題されたその本の表紙には、ギターアンプが描かれていた。仮にも当時(今もだけれど)バンドをしていた僕には見過ごすわけには行かない小説だった。
その日僕は、生まれて初めてジャケ買いというものをした。
三浦しをんはどっかに行っていた。

家に帰るなり部屋に閉じ篭り、僕はラットマンを読み始めた。
何か違う。ページを捲る度、捲る度、その度に、道尾秀介が綴った文章に引き込まれていく。
時が経ち読み終わった後、僕はすぐさま1ページ目に戻り再度読み始めた。

何故か?おかしいのだ。今迄読んだ本と決定的に何かが違う。
それは何か?
それは、話のどんでん返しの大きさとその数だ。
話を読んで、考察して、オチが出て、終わり。
少し凝ったような話では、読者の考察の裏をかいたオチ。
僕の知る限り殆どがその様な流れだ。

だが、ラットマンは違った。
僕の考察の裏。などという話ではない。
考察の死角から、最後にひょこっと顔を出すのだ。
けれども、全く流れを無視して、暴君のように「何か文句はあるか!?これがオチだ!!」と、結論という椅子に座るわけではない。
あたかも自然に、その椅子に座るのだ。
否、座っていたのだ。
僕が数時間前読み始めた時から、ずっと座っているのだ。
登場人物の言動、行動、物凄く些細な仕草、全く関わりのない所で全てが繋がってひとつの答えになる。そして、それがたったの数文でものの見事に覆る。
快感だ。
幾重にも重なるドミノが崩れていくのを見るように、一種の快感に襲われる。
並大抵の才じゃ成し得ることじゃない。

更に付け足すならば、一見忙しそうに見えるその展開だが、微塵も忙しさなど感じない。
あくまで自然に。
自然に展開が進むため忙しさなど感じずにすらすらと読み進んでいける。
ただ、最後の最後でグサッ!と殺られる。
裁判を起こしたら勝てるレベルだ。皆で殺られて道尾秀介を訴えよう。

独特の展開について書いたが、物語の構成度の高さ、表現力、それらを総合した執筆度の高さ。
僕が道尾秀介にハマらない理由がなかった。
そして、長々と語ったその「展開」こそ、道尾秀介作品の醍醐味の一つだと思う。
奇跡的なことに、ラットマンは僕が思うに道尾秀介の作品の中でも、この展開力なるものがずばぬけて光る一冊であり、初回を飾るのに今思えば色々とベストな一冊であった。

ラットマンラットマンと言ったものの、ネタバレを恐れ直接的な内容の表記を恐れてたら、
ラットマンの物語自体の話をあまりできなかった…
その辺は是非、皆さん自身で読んで楽しんで頂きたい所存でゴザイマス。

これでいいのかどうなのか分からないまま書き進めてまいりましたが、僕の拙い文章力で少しでも道尾秀介に興味を持っていただけたら幸いです。
鬼才の世界で皆でのめり込みましょう。
長々とここまで有難うございます。
それでは次回「道尾秀介に突撃インタビュー!好きな枕の素材はなんですか!?」
でお会い致しましょう。

よい道尾生活を。


たまコライター プロフィール

杉本友義(すぎもとゆうき)
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1999年8月16日生まれ。高一の秋に高校を中途退学し、中学の同級生と組んでいたバンドとバイトとバンドとバンドに日々を費やす。幼い頃から本が好きで、音楽活動の傍らで個人的な執筆を気まぐれに行う。音楽と本と面白い事と睡眠とファンタが好き。彼女が欲しい。Twitter:@816absolute816

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