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【小説を書いてみたいと思っている君へ】とりあえず書いてみようか/山田まる

      2014/12/08

とりあえず書いてみようか/山田まる

毎回次はどんなテーマが来るのかな、と楽しみにしているたまごコラムであるわけなのだけれども……今回まるは、「小説を書いてみたいと思っている君へ」というタイトルを見た瞬間、何を書いていいのかがわからなくなって見事に固まってしまった。
何故なら、一言で終わってしまう。

書けばいいよ!

以上である。
冷たいとか、もうちょっと何かあるだろ、とこのコラムを読んでくださっている方は思うかもしれないが、「書いてみたい」と思っている人に向けての言葉としては、まるにはこれしか浮かばないのである。

例えば、他の趣味で考えてみよう。
まるはレース編みという大層似つかわしくない趣味も持ち合わせているのだけれども、
「レース編みを始めてみたい君へ」というメッセージならいくらでも思いつく。
例えばそれは、「お金を出して道具をそろえる前に、シャトルは洗濯バサミでも代用できるから、興味があるならまずはネットの編み方説明動画と、洗濯バサミで試してみてはどうだろう」という提案だったり、「教本を買うなら、最初は~~先生の編み図が見やすいし、出来上がりも綺麗だからモチベーションが続くぞ」だとか、そういうものである。

で、一方の小説の話に戻ろう。
小説、というのに決まった形はない。
何を書かなければいけない、という決まりもなければ、特別に揃えなければいけない道具のようなものはない。また、道具が良ければ良いものが書けるというわけでもないし、何をもってして「良い道具」と言うのかも人による。

なので、とりあえず書いてみれば良い。

ノートに落書きするような気持ちでつらつら書きなぐってみても良いし、PCに向かってカタカタキーボードを叩くのでも良い。スマホでぽちぽち打ち込むのも良いと思う。プロットを作ってからその通りに進めて行くのでも良いし、とりあえず書きたいシーンを書くのでも良い。とりあえずやりたいようにやってみればいい。
小説を書くのは、そんなに難しいことではない。

ただ、ある程度書いたところで、もし「君」が自分の書いたものを誰かに見て欲しいと思ったなら――…思ってしまったなら、そこから「君」の文字書きとしての苦しみがきっと始まってしまうんではないかとまるは思う。

何故なら、「書くことを楽しむために書いた物語」というのは、下手をすると「書いた本人しか楽しくない物語」になってしまっていることがままあるからだ。

「君」が楽しむためだけに書く物語であるのならば、どんな風にでも好きなように書けば良いと思う。三人称と一人称が混じり合おうが、文体が統一されていなかろうが、誤字脱字があろうが構わない。それは「君」のためだけの物語なのだから、他の人には意味不明であったって問題ない。
けれど、「君」がその物語を誰かに見て貰いたいと思ったのならば、「君」はその物語を「わかりやすく」「読みやすく」「伝わるように」書かなければいけなくなる。自分一人の楽しみではなく、「誰かを楽しませるために」書かなくてはいけなくなるのだ。それがしんどい。自分の中では最高に面白いと思う物語が、人に伝わらないのだ。その事実は、
「君」から物語を紡ぐモチベーションを奪ってしまうことになるかもしれない。

けれどもしも「君」が「君」の物語を上手く人と共有出来たなら、その時はきっと死ぬほど嬉しくなる。文字書き冥利に尽きる、というような喜びを味わうことが出来ると思う。
それは「面白かった」という一言だったり、もしかすると「君」の物語への分析かもしれないし、「君」への共感かもしれない。

まるは、その「喜び」が癖になって、今も文字書きを続けている。

どうしたら自分の中にある物語を上手に人に見せられるかを考え、頭の中にある物語をこねくりまわしながら生きている。「他人を喜ばせる」というところに重きを置きすぎて、
「自分が書きたいものは何だ」と原点を見失って途方にくれた時もあったし、逆に、「まるさんの物語は高尚ぶっていてわかりにくい」と駄目出しされまくってもう小説なんて書いてられっか、と腹を立てたこともある。
というか、今でも日々そんな感じである。

書く楽しみを忘れて原点に立ち返り。
かと思えば他人を気遣う心が足りないと反省してみたり。

小説を書く上での悩みは尽きないし、同じ物語でもこう書いてみたらどうだ、ああ書いてみたらどうだ、と書いてみたいネタも尽きない。
まるは、そんな文字書きライフをそれなりに楽しんでいる。

だからやっぱり。
「君」が小説を書いてみたいと思うのなら、まるが言えるのは「とりあえず書いてみようぜ」なんていう気軽な勧誘なのである。

その後のことは――…、まあその後じっくり考えればいい。
どうせ簡単には答えが出ないことなのだから。うん。

 - 小説を書いてみたいと思っている君へ ,

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