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【私の推したま】ゆる系ナンセンスは正義ですから。/徒川ニナ

      2016/11/21

ゆる系ナンセンスは正義ですから。/徒川ニナ

「私の推したま」というテーマを頂いた時、初めて『このお題、パスで』を使おうかと真剣に悩んだ。
それ位私にとっては難しいテーマだという前置きと共に、このコラムを書きだそうと思う。

有難いことに、オンライン上で創作活動を通して、私はとてもたくさんの『たまご仲間』と知り合うことができた。
中にはオフラインで実際に顔を合わせたり、連絡先を交換してちょくちょく朝まで語り合ったりするようなひともいる。誰も彼もかけがえの無い、私の友人だ。

そういう面々の多くは、私とどこかしら似た所を持っていて、それが普段の何気ない会話や作品の端々から滲み出たりする。
だからあえて今回はそういう人を外して、「私の推したま」を選んだ。
彼の『持ち味』は私のそれとは全然別の所にあって、私にはどう頑張っても真似ができない。

そのひとの名前は木村椅子。きむらいす、と読むのだが、口に出す時どういうイントネーションにしたらいいのか未だに悩む。
彼、と前述したように、少し可愛らしいイメージの筆名でいらっしゃるが男性である。
トレードマークは手描きの猫アイコン。ゆる系ユーモラス・ナンセンス日常ものを得意とする(偏見)親愛なる友人である(って今勝手に決めた。異論は認める)。

元々CRUNCH MAGAZINEという投稿サイトでご一緒していたのだけれど、その時は今よりも絡みが少なかったのではないかな。
それでも、「このひと、只者ではない」とは思っていた。そう思っていたから、あまり絡まなかったのかもしれない。

本格的にやり取りするようになったのは、ノベルジムという投稿サイトに本拠地を移動してからだ。
彼がノベルジム大賞に応募した『オボロメモリの星空を』という作品に衝撃を受けた私が、辛抱たまらず興奮気味に噛みついたのだ。
当時私が残したコメントにはこう書いてある。
「とにかく癖になります」

それ以来すっかり私は椅子節(何だかかつお節みたいだ)の虜で、もう一つのノベルジム大賞エントリー作品にもメロメロなのである。
だって、タイトルからして素晴らしいんだもの。
その名も『夢の遊眠と有限な悠日』。
印象的な書き出しを引用したい所なのだけれど、彼の作品が本になる時の為に控えておく。
そう、上にあげた二作品、ともに現在最終選考進出中なのである。
そういうタイムリーさもあって、このコラムで彼を「推したま」として紹介させて頂いた。

彼の作品の魅力を一言で語って、と言われたら、私は悩みに悩み抜いてこう言うだろう。
「登場人物がみんな愛おしいんだよ!」
本当、これにつきるのである。

みんな揃ってユーモラス。でもってどこか抜けていて、何だか妙に憎めない。
『オボロメモリ~』の三条三助しかり、『夢の遊眠~』の田中しかり、それは彼の作品に出てくる全てのひとに言えることだ。
語彙の無い私は彼らの魅力を適切な言葉で伝えることができないので、是非ともその目で確かめて欲しい。
本当、みんな「いいやつら」で、何だかもう堪らない気持ちになる。

彼があらゐけいいち氏の漫画『日常』のファンであると知った時は、妙に納得したものだ。
確かにあのナンセンスさは通じるところがある、と勝手に思っている。

そんなゆるくて可愛くて面白い彼の世界観に、私はずっと憧れていた訳なんだけれども、ある日こんなことを椅子さん本人に言われてひどく驚いたことがある。
曰く、「徒川さんの文章は自分には書けないタイプのものであって、ちょっと羨んだりもしています」。
なんと! まさか! 椅子さんが!? とはじめは目を疑った。
だけどほっぺをつねったら痛かったし、夢じゃなかった。多分……多分。

私が「いいなーよくこんな言い回し思いつくなー」って羨んだり妬んだりしている横で、椅子さんも実は同じようなことを思っている(のかもしれない)なんて、目から鱗である。
でも人間って案外そんなものかもしれない。隣の芝は青いのかな、なんてことを考えさせられた印象的な逸話だ。

椅子さん、前にも言いましたけど、私だって貴方が羨ましいです。
これからもお互い全然違う持ち味で、あっちこっちを向きながら、でも根っこの所は同じ気持ちで、頑張っていきましょう。

――最後は手紙のようになってしまったが、こういうゆるいコラムもたまにはいいか、ということで無理矢理自分を納得させる。

そして今回は一人に絞らざるを得なかったけれども、私の周りに限らず、世の中にはたくさんのきらきら輝く「たまご」達がいるということを改めてここで述べておきたい。というか叫びたい。喉が張り裂けそうなくらいの大きな声で。

全ての「たまご」に幸あらんことを、という無責任な祈りと共に、全方位にリスペクトの念を送りながら今日も私は床につこう。
皆さんお休みなさいませ。どうぞ良い夢と良い眠りを。

木村椅子さんの小説はこちらで読めます。
ノベルジム→http://novelgym.jp/user/521
CRUNCH MAGAZINE→https://i.crunchers.jp/u/2407

たまごライター プロフィール

たまごライター:徒川ニナ
writer_nina_1001987年生まれの静岡県民。自分の書いた文章を一人でも多くの人に読んでもらうべく活動中です。守備範囲は純文学からラノベまで浅く広く。時にエッセイも嗜みます。音として美しい日本語を日々研究中。Twitter:@adagawa_n

 - 私の推したま

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