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【小説の読み方】読書ノートの記憶/笠原小百合

      2017/03/18

【小説の読み方】読書ノートの記憶/笠原小百合

記憶する、ということが苦手です。人の名前も顔も、自分に起こった悲しい事件も嬉しい出来事も、観た映画も読んだ本も。すぐに忘却の彼方へと消え去ってしまいます。記憶障害なのではと疑うこともありますが、人間とは忘却する生き物なのだと自分に言い聞かせ、日々を過ごしています。Watch movie online The Transporter Refueled (2015)

忘れてしまう色々の中で特に忘れるのがつらいのは、読んだ本の感想です。本が好きで、読書が大好きなのに、読んだ本の内容はどんどん忘れていく。時間が経ってしまうと自分の中に何も残っていない。こんなに悲しいことはありません。

読みきった時の感動、ページを捲る高揚感、ハラハラする展開、感嘆を覚える描写。それらは紛れも無く自分が体験したことで、貴重で素敵な経験です。そんな読書体験を出来ればずっと覚えていたくて、自分のものにしたくて、読書ノートをつけるようになりました。

READING EDiT(本よむEDiT)という読書ノートを使っています。この一冊に、わたしの読書の記憶が詰まっているのです。ただ読んだ感想を書くだけでなく、ここが凄かった、ここを見習いたいといった技術面で参考にしたい部分を書き出したり、どういうキーワードで物語が構築されているのかを分析したりもしています。普段からそういったことに着目しながら小説を読んでいるので、読書ノートのために特に意識して読み方を変えたりはしませんでした。

小説を読むということは、自分の感想や意見をまとめるための下準備という感覚もあります。純粋に小説を楽しみながら読んでいる感覚もありますが、それ以上に、その中から何か新しい発見をしたり思考を深めたりすることが、わたしの読書の喜びなのです。その体験はかけがえのない宝物で、自身の創作の糧になります。

読書ノートを読み返せば、読んだ本の記憶は少しだけ補完されます。自分の字でその時その本と向き合って感想を綴ったことは消せない事実です。それが読書ノートとして目の前にあるということは、忘れ去られた記憶が確かに存在していた証です。わたしがわたしとして読んで、考え、感想を綴ったという事実。それは、わたしの存在の証そのものでもあります。

わたしはわたしの存在証明のためにも、少しでも長く感想を記憶していたいのです。どこまでも自分本位ですが、読書ノートをわたしの大切な記憶の一部として、これからも傍らに置いて過ごしていきたいと思います。読書ノートに綴った記憶たちがいつかわたしの小説作品に昇華されることを信じて、これからも小説を読んでいきたいです。

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あとがき

読書だけでなく執筆も、わたしにとっては自分自身の存在証明のための手段なのかもしれません。欠けていく記憶たちを拾い集めながら、これからも読書に執筆に励みたいと思います。

たまごライター プロフィール

たまごライター:笠原小百合(かさはらさゆり)
writer_sayuri_1001984年3月11日生まれ。栃木県出身、東京都在住。小学四年生で作家を志し「日常に潜む狂気」をテーマに小説を書き続けている。2011年1月にWEB文芸誌「窓辺」を立ち上げる。2015年より文学フリマガイドブック編集者としても活動。同年6月に出産を経験した一児の母。小説と写真と競馬があれば生きていける。Twitter:@sayuspi

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