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【あこがれの小説家】『ああなりたい』人、山崎ナオコーラさん/徒川ニナ

      2015/07/20

【あこがれの小説家】『ああなりたい』人、山崎ナオコーラさん/徒川ニナ

今回のお題は「憧れの小説家」である。
このテーマを見た瞬間、私は「ああきっとばななさんのことを書くんだろうな」と思った。ばななさんとは言わずもがな、私の敬愛する小説家、吉本ばななさんのことである。
しかし、彼女のことを「憧れ」という目線で語ることに少々の違和感を抱いた。
この感情は「憧れ」というよりはむしろ「崇拝」だ。
ばななさんはこんな一介の作家未満に崇拝されることを気持ち悪いと思うかもしれないけれど、今の私の感情は言うなればそれだった。

そこでもう一度「憧れ」という感情について思いを馳せた時、ふっと浮かんだ人物がいる。
第41回文藝賞受賞作「人のセックスを笑うな」の著者である、山崎ナオコーラさんだ。

私と山崎ナオコーラさんの出会いは、(確か)半年ほど前に遡る。
暫くの間音信不通だった物書き仲間Kから、唐突に届いたLINEのメッセージ。
そこにはナオコーラさんのインタビュー記事へのリンクが貼りつけられていた。
「この人、多分文章に対する感覚がニナと近いと思う」
そして彼女は言った。
「『人のセックスを笑うな』、読んだ方がいいよ」
――私は彼女のセンスを絶対的に信頼している。
すぐにリンクをクリックして、インタビューを読んだ。

「文章を音としてとらえる」
「響きを大切にする」
すごーく簡略化するとそういうような内容が書いてあった。
そして、「ナオコーラというペンネームはなんとなくつけた。響きがいいから」という一文もあった。私はそこに、とても好感をもった。

すぐに私は「人のセックスを笑うな」を買い求め、貪るように読んだ。
するすると入ってくる文章はある意味とても女性的で、優しく、まろやかだ。
私は思った。
ああ、いい。これはすごくいいものだ。
それと同時に、私が掲げる「音として美しい日本語」という目標が形を成すのはこういう時なのではないかという漠然とした感動を抱いた。あぁ、少なくとも私、間違っちゃあいなかったよ。

それからひと月ほど後のこと。
私が執筆の度に愛用しているブックカフェの「ご自由にお読み下さい」コーナーで、私は山崎ナオコーラさんとの再会を果たす。
その時私はたまたま原稿に行き詰まっていて、何か本を読みたいな、と思った。
向かった本棚で見つけた「山崎ナオコーラ」の文字。
私は何かに導かれるようにその本を手に取った。
「男友だちを作ろう」というタイトルだった。

これはwebちくまで連載されていた「男友だちを作ろう」というエッセイに加筆修正を加えてまとめたものらしい。
そう、エッセイ。
私は初めての出会いとはまた違う形で、彼女と再びあいまみえることになったのだ。

『人に会って、スケッチ風のエッセイを作る』というのがこの作品のコンセプトであるらしい。
実際ナオコーラさんは、現代美術家、そばや店主、お笑い芸人にミュージシャンといった様々なタイプの男性と対談し、その風景を『スケッチ』するように描写した。

はじめの一章を読破して、私はこの本を手元に置くことを決めた。
購入して家に帰ってからも夢中で読みふけり、ぱたんと本を閉じた時、私はしみじみ思ったのだ。

「ああ、こういうことをやってみたいなぁ」

『人に会う』ということは、文章を書く上のみならず、生きる為にとても重要なことだ。
そのきらきらした素敵な出会いを、こんな風に描き上げることができたら何と幸せだろう。

物を書いている上で、私には幾つかの野望がある。
『憧れのもの作ラーさん達ともの作り談義に花を咲かせる』というのもその内のひとつだ。
ものづくらー、というのは私の作った言葉で、『何かを作り上げることを喜びとする人』を指している。そういう人たちとたくさんたくさん会って、私は楽しい話をしたい。

そういう風に一冊の本を通して思わせて下さった山崎ナオコーラさんが、私にとっては「憧れの小説家」であるかもしれない。

いつか、いつか私もあんな風に。
そう思わせてくれた素敵な出会いに感謝しながら、私は今日も今日とて無心にキーを叩くのである。

あとがき

今回のテーマにもかなり頭を悩ませましたが、『書きたいこと』が決まったらするすると指が動きました。
目標があるというのは素晴らしいことです。
道に迷った時、やさぐれてそっぽを向きたくなった時、自分に自分を思い出させてくれます。
皆さんも、「あっ、素敵!」と思ったその瞬間を忘れずにいたら、きっと見失うことなく『続けて』いくことができるのではないでしょうか。

たまごライター プロフィール

たまごライター:徒川ニナ
writer_nina_1001987年生まれの静岡県民。自分の書いた文章を一人でも多くの人に読んでもらうべく活動中です。守備範囲は純文学からラノベまで浅く広く。時にエッセイも嗜みます。音として美しい日本語を日々研究中。Twitter:@adagawa_n

 - あこがれの小説家

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