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【タイトルの決め方】かがみよ、かがみよ、かがみさん。/徒川ニナ

      2015/03/25

【タイトルの決め方】かがみよ、かがみよ、かがみさん。/徒川ニナ

今回のお題は『タイトルのつけ方』ということなのだけれど、これにまつわる印象的なやりとりが以前ネット上であったので書かせて頂く。
相手は同じたまごライターの緒方あきらさん。
私達はまだ『ノベルジム』という小説投稿サイトで知り合ったばかりの間柄だった。

自分なりの『美しい日本語』について語り、最後に「私が音にこだわるのは、もしかしたら昔現代詩や短歌に触れていたからかもしれない」と締めくくったそのブログに、緒方さんがコメントを寄せてくれた。

まるごと引用するのは気が引けるので要約すると、
「前から、徒川さんのつけるタイトルって七音と五音を組み合わせたものが多いなって思ってました! 納得です」
という感じである。

・転んで起きる星のもと
・塵もつもれば山盛りメモリー
・書きたい自分が書けない自分
・ことばの魔法のすむところ

多少音の並びが崩れているものもあるが、そう言われて改めて見ると確かに多い。

実はこのことに関して、私は緒方さんに指摘されるまで完全に無自覚だった。
頂いたコメントを読んだ時、改めて自分が書いてきたもののタイトルを確認して、「無意識、こわっ!」と震えたものだ。三つ子の魂なんとやら。全くその通りである。

私はどうも、単語だけのタイトルよりも、それを組み合わせた文章に近い形のタイトルに心惹かれるようである。
それも踏まえて、今度はこのリストを見てみて欲しい。

・星を束ねて明かりを灯せ
・星の涙にその手をのべて
・泣かないで、一番星
・ディア・マイ・ポラリス
・泣き虫ステラ
・さやかなる星の願い
・さやかなる星のしらべ
・君の一番星に願いを

これは、現在絶賛出版準備中の電子書籍、徒川ニナの記念すべきデビュー作のタイトル候補一覧である。
内容は、今まで書いてきた中で、現代文学っぽいものを集め、更に書き下ろしの掌編を加えた短編集。毛色の異なる短編を一つのタイトルでまとめるのだから、なかなか大変だ。

ちなみに収録作品のタイトルは以下の通り。

・彗星列車
・死にたがり賛歌
・手のなるほうへ
・転んで起きる星のもと
・全ての六等星に祈りを

意図していたわけではないのだけれど、星をイメージする作品が多くなった。
よって、それに沿うタイトルを……と、悩みに悩んでいたのだけれど、これがなかなか決まらない。

私が仮案として、「星を束ねて明かりを灯せ」を出した時、全ての作品を読んでいる知人は難色を示した。
「灯せ、って、ちょっと強くない?」
命令形はニナの作風に合わないと思う、と言われた私は、正直むっとする。
「やっと決まりそうだったのに!」
それでも、信頼を寄せる感性の持ち主を尊重し、とりあえず一晩考えることになった。
そして翌朝の私は頷く。
「うん、やっぱこれじゃないな」
人間というのは、かくも移ろいやすいものなのである。

そして私は、この短編集を通して伝えたいこと、どんな気持ちになって欲しいかを考えた。

「人間ってのは、みんながみんな一等星なわけじゃないじゃん? でも、一等星にも三等星にも六等星にも、みんな輝いて欲しいんだよね。んで、輝けなくなりそうな時、そっと手を差し伸べられるような、そういう作品にしたい」

その条件と、私のこだわりである「言葉の響き」を重視して選んだのが、
「星の涙にその手をのべて」である。
この『星』というのは、この世の中にいる全てのひと。
ちょっと大それているかもしれないけれど、そういう気持ちでつけた。

というわけで、何だか宣伝に終始してしまったような気がするけど、そこはタイムリーな例があったからだということで大目にみて欲しい。

タイトルは作品を映す鏡。
それはそのまま、筆者本人のこだわりや姿勢をも、映し出しているのかもしれない。

というわけで、リリースされた折には「星の涙にその手をのべて」を宜しくお願いします!(宣伝)

あとがき

今回は、かなり具体的な例(と宣伝)を交えてお話させて頂きました。
タイトルって、ホームページや書店でぱっと見た時一番最初に飛び込んでくるものですから、作品の姿を忠実に映し出すものでなくてはいけないと思うのですよね。
そしてそこに、作者本人のこだわりも出ると尚良いのかと。
私はまだまだ修行中ですが、どうぞ皆様も、皆様だけのかがみをぴかぴかに磨き上げてみて下さい。

たまごライター プロフィール

たまごライター:徒川ニナ
writer_nina_1001987年生まれの静岡県民。自分の書いた文章を一人でも多くの人に読んでもらうべく活動中です。守備範囲は純文学からラノベまで浅く広く。時にエッセイも嗜みます。音として美しい日本語を日々研究中。Twitter:@adagawa_n

 - タイトルの決め方

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